グナワ ー モロッコ 聖なる治癒の音楽
「私の色は青なんだ。」 インタビューの中で、ランディはこう切り出した。 「人はそれぞれ特定の色を持つ、いや人だけでなく、音も、歌も、すべてが色をもっているんだ。それを私はモロッコのグナワという、素晴らしい伝統的な音楽家たちから学んだんだよ。」...
いのちの探求 ー 幼子の泣く声
『帰りたい。』 いつの頃からか、心の奥深くより、響いて来る声が、あった。 それは幼子の姿をともなって、私のこころの内に現れるようになった。声も出せず、目も見開かれたままで、ただひたすら無力に、泣き続けるのだった。声帯も奪われているかのように見えるその姿、その身体全体から、声...
『音の神秘』ー ハズラト・イナーヤト・ハーン
先日届いた、ランディ・ウエストンの新アルバムを開き、まず目に飛び込んできたのは、ハズラト・イナーヤト・ハーンという名前だった。 彼の残した名著、その名も『音の神秘』こそが、私とランディをさらに深く結びつけ、2008年に彼を追いかけて、モロッコへとまで旅立つ要因となったものだ...
ランディ・ウエストン ー この偉大なる音楽
2018年 2月24日、偉大なる音楽家、生きる伝説、ランディ・ウエストンの新アルバムが、京都の自宅に届いた。それはまさに、ニューヨークで、このアルバムのリリースコンサートが行なわれようとしている、その当日だった。偶然の符号に驚き、喜びを隠せずに、私は封を切り、音を流し始めた...
『俺をおいて、逝くな』心の中で、大きな声がした。
伯父が亡くなった。大好きな伯父だった。 50才も齢ははなれていたが、酒を酌み交わしながら、笑顔で語り合えば、そんな事など何一つ関係ない。「まぶさん、まぶさん!」と名前をつづめて呼んでくれた、あの温かい、包み込むような声が、今でも忘れられず、心の中で響いている。...
シャニ・ディリュカ = 初めての出会い
シャニ・ディリュカ、思えばこの素晴らしいピアニストとの出会いも、不思議な出来事で満ちあふれていた。友人宅にて、バーベキューをしながら、彼女が一体誰なのか知らないまま、私たちは話しはじめていた。 会話のはしばしから、どうも彼女がピアニストであるらしいこと、そして今、制作中の新...
『中上健次ナイト』ー 京都国際現代芸術祭にて
偉大な小説家、中上健次 ほど、私の人生に、多大な影響を及ぼした人はいない。それは間違いなく断言できる。 文学のみならず、音楽、写真、映画、いや、芸術・芸能全般の、深さ、豊かさを、これでもかというほどの激しさをもって、叩き付けるように、教えてくれた。彼の生み出した文章を読むだ...
やなぎみわ 『日輪の翼』との邂逅
やなぎみわ さんとの出会いは、何か運命を匂わせるモノに満ちていた。 傑出した名俳優、原田芳雄さんにお会いしたのは、確か2009年、の熊野新宮の、お燈まつりでのことだった。私が心より敬愛する小説家、中上健次。彼が愛したこのお燈まつりに是非一度は参加しようと、その日は私は白装束...